8ミリフィルムをDVDやデジタルデータの動画ファイルに変換する方法

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私の実家には、父が50年近く前に撮影していた8ミリフィルム(フジカシングル8)が20数本あります。昨年帰省した時に、当時の映写機を物置から取り出して映してみようとしましたが、ランプが切れているのと、もう数十年動かしていなかったので、動作しませんでした。 




思えば私が子供の頃の姿が映っていて、当時はよく電気を消してスクリーンに現像したてのフィルムを映写して家族皆んなで楽しんだ記憶があります。しかし、いつからか全く見なくなり、そのうちビデオの時代になってしまった為、物置にしまわれたままになっていました。

そこで、このフィルムをデジタル化し、パソコンやタブレット、スマートフォンでいつでも見られるようにしておこうと思いました。何故ならデジタルデータにしておけばデータは劣化しないからです。

また、撮影した8ミリカメラは初期のタイプで、音声が入っていないので、ついでに、BGMを入れたり、要所要所にテロップを入れるなどして、わかりやすい動画に仕上げられれば一石二鳥だと思ったからです。いずれにしても、まずは8ミリフィルムを高品位なデジタルデータに変換しなければなりません。

8ミリフィルムの写真

データ変換の方法

データ変換の方法ですが、いくつかの選択肢があります。一つは8ミリ映写機で映写した映像をそのままデジタルビデオカメラで撮影する方法です。しかし、映写機は壊れているのでこの方法を実行するには、8ミリフィルムの映写機を入手しなければなりません。まあ、オークションサイトで検索すると、同じ映写機が1,000円ぐらいで出品されてはいるのですが、やはり動作確認していないとか、電源は入るがランプがつかないとかのジャンク品がほとんどで、動作保証があるものは少なく、あったとしても1万円とか2万円以上の開始価格が設定されてるものばかりでした。

もし、映写機が入手できたとしても、いくら映写機やビデオの性能が良くても、映写機でスクリーンに映したのをさらにビデオカメラで撮影すると、映像の劣化が生じてしまいますし、何より映写機とビデオカメラで同期しないためにフリッカーというやっかいなチラつき現象が起こりますので、この方法は得策とは言えません。

劣化を少なくする方法としては、テレシネコンバーターというものを使うことになりますが、これは映写機をコンバーターに接続、もしくは近くに設置し、テレシネコンバーターの小型のスクリーンに映写機の映像を投映したものを、ビデオカメラで撮影できるアダプターで、映写機とスクリーンが近く、ビデオカメラも近くにセットできるので、映像の劣化やフリッカーも少ない形でビデオ変換できるものです。しかし、映写機に加えてテレシネコンバーターも入手しなければならないのと、テレシネコンバーターを使ったとしても、やはり映像の劣化やフリッカーがまったくないわけではありませんので、結局これも断念しました。

テレシネコンバーターの写真

そうなると、やはり最終的には専門の業者にお願いするのが無難だなという考えに至り、インターネットで8ミリフィルムをデジタルデータに変換してくれる業者を探しました。ネットで検索しているといくつか良さそうな業者が出てきました。例えばカメラのキタムラ富士フィルムのDVDへのダビングサービスです。これらのダビングサービスは、「ダイレクト方式」という方法で、フィルム映像の変換時の劣化を極力排除した方法を謳っていて変換時の劣化に関してはクリアしそうです。

ところが、カメラのキタムラや富士フィルムのDVDダビングサービスは、あくまでも映像を通常のDVD-Video形式でDVDに保存するサービスで、例えばMP4とかWMVのようなデータとして納品してくれるようにはなっていません(※1)。富士フィルムでは法人向けとしてそのようなサービスがあるようですが、個人にはちょっと馴染みませんでした。もちろんDVDを作成してから、そのDVDからデータ化する方法はあるのですが、やはりデータの解像度が480pとよくはなく、私としては、1080pぐらいのデータにしたかったのです。

※1)2017年1月現在、富士フィルムのDVDダビングサービスではスマホで見られるMOEG4動画のDVDがついてくるようです。

そんな訳で引き続きフィルムをデータとして納品してくれる業者をネットで探していたところ、ありました! ロジックファクトリー株式会社という会社がやっているデジタルライトというデータ変換サービスです。ここの変換サービスは、8ミリフィルムからDVD、Blu-ray、標準データ、フルHDデータの4種類から選択できるのです。もちろん納品メディア(変換先)により値段が違っていて、データの場合、標準データで10分あたり5,508円、フルHDデータで10分あたり7,128円(※2)となっており、安いとはいえませんが、DVDの2倍まではしないので、まあ許容範囲です。私の持っている8ミリフィルムは3号リールと5号リール合わせて22本あり、合計した時間は140分ぐらいになりますので、時間の長さにより少し割引があったとしても、フルHDデータに保存した場合は9万3千円ぐらいになりますが、高品位なデータなら良いかなと思いました。

ところが、デジタルライトのホームページをいろいろ見ていたところ、「テレシネ機のレンタル」なるものを見つけてしまいました! これは、8ミリフィルムからデジタルデータに直接変換できる「レトロ8」という機械をレンタルしてくれるサービスなのです。レンタル料も、2泊3日で10,800円、7泊8日で41,040円、以降は1泊あたり+10,800円(※2)と、とても良心的なものです。

※2)2017年1月現在の値段です。

このレトロ8という機械は、一見すると、オーディオ用のオープンリールテープデッキのような形をしており、8ミリフィルムをこれにかけると、ちょうどオーディオのテープデッキでいうところのヘッドの部分が、フィルムスキャン装置になっていて、強力なLEDランプが照射されて、フィルムが通る裏にあるイメージセンサーで1コマ1コマ読み取る方式のものらしく、フリッカーの発生なしに、きれいにデータ変換できるという優れものです。取り込み解像度も、Quicktime形式で1920×1080、1280×720、720×480の3種類で取り込み可能なので問題ありません。レンタルした場合には、レトロ8と、データ変換保存用のPCや接続ケーブルなど全てをセットでレンタルしてくれるというものですので、特に何か別に用意するものはありません。これはレンタルしない手はありません。 



レトロ8をレンタルしてみた

これは2015年当時にレンタルした記録となります。まず、ホームページに掲載されていたフリーダイヤルに電話しました。担当者からいろいろ説明を受けましたが、大まかな流れとしては、本人確認書類の送付(FAXなどで身分証明書を送るなど) → マニュアルをダウンロードし、自分で変換できるかどうか決める(ここで自分では難しいかなと思ったらレンタルしない) →自分で変換できそうなら、レンタル料金を振り込む → レトロ8が送られてくる という流れになります。

PDFマニュアルをダウンロードして見てみたのですが、自分で問題なく変換できそうなので、レンタルを申し込みました。レンタル期間ですが、2015年当時は1泊2日というメニューがあり、税別で8,500円だったので、これに申込みました。1泊2日といっても、機器が到着した日の翌日が1日目になり、2日目に返送(運送業者に引き渡す)すれば良いので、実質2泊3日となっています。

機械のレンタルスケジュールは、webサイトにカレンダーに空きがある日が出ていますのでその中からあらかじめ決めますので、機械が到着する日に受け取れるようにしておきます。もしその日に受け取れなくて翌日などになってしまっても、レンタルスケジュールが延びる訳ではないからです。特に1泊2日のような場合は気をつけなければなりません。

※もし私と同じようにテレシネ機のレンタルを検討したいと思っている方は、下記のレンタル業者に直接お問い合わせ下さい。マニュアルのダウンロード先などは、業者とのやりとりの中で示されますので、当サイトでお答えする事は出来ません。
レンタル業者のホームページ →レトロ8レンタル

レトロ8が到着しました

レトロ8が予定通り宅配便で到着しました。結構大きな箱に入っていて、重さもズッシリとしたものです。

レトロ8が到着した写真

箱を開けてみました。梱包は厳重です。

レンタルしたレトロ8の箱を開けた写真

箱に入っていたもの全てをテーブルの上に広げました。レトロ8の他、画像取り込みに使用するPCのMacBook、接続ケーブル、マウスなど。それから自分のPCにデータを移す時に使用するポータブルのHDDも入っていました。先にダウンロードして見たマニュアルも、そのまま印刷されたものが入っておりました。

レンタルしたレトロ8の中身の写真

レトロ8とPCを接続しました。PCはMacBookなのですが、BootCampでWindows7が入っていました。取り込みソフトはWindows7上で動作するタイプのものです。レトロ8とPCはUSBケーブルで接続します。

レンタルしたレトロ8をセッティングした写真

8ミリフィルムからデータに取り込み開始

早速8ミリフィルムをスキャンしてみました。フィルムをセットし、レトロ8をスタートすると、ヘッド上部から強いLEDの光が照射されて、フィルムに当たります。その裏にイメージセンサーがあり、データ化するような仕様です。取り込みしている間は、PCの取り込みソフトには、取り込んでいる映像が映し出されています。このソフト上で色合いや明るさなどを調整する事も可能です。取り込み速度は、ゆっくりで、スローモーションのような感じで取り込まれていますので、3分の7.5cmリールの場合、取り込み時間は5分ぐらいはかかる感じです。もちろんこれは取り込み速度に限ったことですので、再生した時には通常の速度で再生されました。解像度は全て1920×1080で取り込みました。

レンタルしたレトロ8で8ミリフィルムを変換している写真

取り込みソフトの画面の写真

上の動画は実際の取り込みしている様子ですのでご覧ください。今回の8ミリフィルムデータ化計画はとても満足な形で成功しました。レトロ8到着日は、テスト取り込みなどで終わりましたが、翌日のレンタル1日目には22本、合計140分のフィルムを全てデータ化する事に成功しました。一度データにさえしておけば劣化しませんので、DVDでもブルーレイにでも、また次世代のメディアが出たとしても、いつでも書き込む事が可能です。一時は10万円の出費を覚悟しましたが、結果的には1万円もかからずに、高品位なデータに変換できました。とても有り難いサービスを利用させて頂きました。レンタルしたレトロ8は、2日目(最終日)にクロネコヤマトで返送しました。

(記事配信:2017年1月)

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